FAQ

健康・文化のFAQ

動脈硬化とはどんな病気か教えて下さい。

中川医師 がお答えします。

動脈硬化は加齢に伴い誰にでも生じる現象です。動脈硬化を起こした血管には壁の肥厚や石灰化、粥腫の形成などの変化が見られます。動脈硬化は全身の細い動脈から太い動脈のどこにでも生じることがあり、さまざまな臓器の血流に障害を与える結果、病気を引き起こします。

どういう動脈硬化が怖いのでしょうか?

中川医師 がお答えします。

動脈硬化に伴う変化のなかでも問題なのはソフトプラークとも呼ばれる“粥腫”で、これは血管壁の間に脂質の溜まりができ隆起する変化です。この溜まりの表面は薄い細胞膜で覆われているだけですので、ひとたび覆っている細胞膜が破れると血栓ができ、その血栓が血管を詰まらせてしまうのです。こうした破れやすいプラークを不安定プラークと呼びます。たとえば心臓の冠動脈が詰まれば心筋梗塞を、脳動脈が詰まれば脳梗塞を発症します。この2つの疾患は突然死の原因となる怖い病気で、我が国では増加傾向にあります。

心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす動脈硬化には前兆がありますか?

中川医師 がお答えします。

ほとんどの場合、前兆がありません。一般に、心筋梗塞の原因となる冠動脈のプラークが血管の断面の75%以上を占めるほど大きくなると運動や興奮した時に胸が痛くなる症状を認めるようになります。しかし多くの心筋梗塞は50%以下のプラークから発症するため、前兆がないことのほうが多いのです。プラークはその大きさよりも脆弱さ(不安定さ)の方が問題なのです。

危険な動脈硬化を生じやすい人とはどんな人でしょうか?

中川医師 がお答えします。

生活習慣、基礎疾患、体質の3つの点から考えるとよいでしょう。生活習慣では脂質の多い食事、運動不足、精神的ストレスなどが動脈硬化の進行を早める原因となります。こうした生活習慣にも起因しますが、動脈硬化を引き起こす基礎疾患には高血圧、脂質異常症(高LDLコレステロール血症、高トリグリセライド血症、低HDLコレステロール血症など)、糖尿病などがあります。遺伝的体質も大きな因子であり、両親や兄弟など血縁者に心筋梗塞や脳梗塞で倒れた人がいる場合は注意が必要です。

動脈硬化を調べる検査にはどんな検査がありますか?

中川医師 がお答えします。

一般的な動脈硬化の状態を診る検査には、眼底、血圧脈波(PWV/ABI)、頸動脈エコー、FMDなどがあります。脳や心臓の血管の詰まりを診るにはカテーテルやCT、MRIなどによる造影検査、もしくは心臓や脳の血流シンチグラム、PETなどの検査が必要になります。

心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすい不安定プラークを見つけるにはどんな検査を受ければいいのでしょうか?

中川医師 がお答えします。

今のところ不安定プラークを検出する検査方法はありません。心筋梗塞はその多くが50%程度の詰まりから発症していることが分かっていますので、この程度の動脈硬化が見つかったら治療をすべきでしょう。カテーテル検査やMRI、造影CT検査でこうした動脈硬化が見つかることがあります。50%程度の詰まりでは心臓シンチグラムでは異常がでませんが、心臓PET検査では検出が可能です。このような動脈硬化が見つかったら、あるいは頸動脈エコーなどで脂質に富んだプラークを認めた時には、積極的に生活習慣を改善し、高血圧・脂質異常症・糖尿病の治療をすることが重要です。

動脈硬化は悪化する一方で、改善しないのでしょうか?

中川医師 がお答えします。

動脈硬化は改善します。石灰化が無くなることはありませんが、最も危険なソフトプラークは小さくなります。適切な治療を受けてソフトプラークが小さくなれば梗塞を起こすことはほとんどありません。繰り返し心筋梗塞を起こす方は、通院して薬を飲んでいても動脈硬化が改善するのに十分な治療レベルに達していないと考えられます。

動脈硬化がかいぜんしたかどうかはどうしたら判るのでしょうか?

中川医師 がお答えします。

たとえば心臓の冠動脈の場合、カテーテル検査で詰まった血管の断面を診るIVUSという検査方法を用いると詰まりの程度を正確に評価できます。しかし心臓発作もないのにリスクのあるカテーテル検査を定期的に行うわけにはいきません。CTやMRIなどの造影検査では動脈硬化の改善や悪化を経過観察することは困難です。

一方、心筋血流を診る心臓PET検査は冠動脈の動脈硬化の改善に伴う血流の改善を捉えることができます。コレステロール低下治療により心臓PET検査で冠動脈血流が改善した方はその後に心筋梗塞発作を起こすリスクが、血流が悪化した方に比べて格段に高いことが研究報告されています。

アドバイザー紹介

中川 敬一

東京シーサイドクリニック
院長 中川 敬一

  • 医学博士
  • 千葉大学非常勤講師
  • 日本循環器学会認定 循環器専門医
  • 日本内科学会認定内科医
  • 日本核医学会認定PET被医学認定医
  • 日本医師会認定産業医
所属学会
日本内科学会
日本循環器学会
日本核医学会
日本心臓被医学(評価員)
日本成人病(生活習慣病)学会(評議員)
日本心臓病学会
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